2008年10月16日 「技術編-14 event-対-resource の関係」 を読む >> 目次にもどる
2017年 5月 1日 補遺  


 

 本節では、「event-対-resource」 の関係文法を説明しています。すなわち、「event-対-resource」 の関係では、resource の認知番号を event のなかに挿入する、と。この文法は、以下の考えかたを前提にしています。

    「resource が event に関与する (ingression、侵入する)

 この考えかたは、ホワイトヘッド 氏の哲学を借用しています。(参考)
 そして、ホワイトヘッド 氏の哲学を借用する前に、以下の哲学を検討してきました。

 (1) 実体主義と関係主義
 (2) 2 項関係と 3項態

 以上の 2点については、「技術編-11」 で詳細に説明したので、それを参照してください。「技術編-11」 を ここで補足するならば、関係主義は、述語が個体を吸収しているのに対して、実体主義では、個体を先に認知しているという点でしょうね。たとえば、「佐藤正美は、システム・エンジニア である」 という文では、関係主義的文法は、固有名辞 (佐藤正美) を代名詞として扱って──つまり、「・・・という (such that) 個体が存在する」 というふうに扱って、∃x P (x) という論理形式に翻訳して──関数 f (x) を使って 「性質」 を記述しますが、実体主義的文法は、「個体指定子 (entity-setter)」 を付与した管理対象を個体として扱う、ということです。

 ここで思い起こしてほしい点は、TM では、個体の定義において、entity および event を定義して、resource は event の補集合として扱われているという点です。そして、TM の関係文法では、resource は行為者として event (できごと、行為) に関与するというふうに扱われています。

 なお、「event-対-resource」 の 「複数-対-複数」 関係は、「多値関数 (多値の AND 関係、そして MAND と略記) で扱います (後述)。

 
(参考) 「科学的認識の基礎」、ホワイトヘッド A.N. 著、藤川吉美 訳、理想社。

 



[ 補遺 ] (2017年 5月 1日)

 この文法 (「event 対 resource」 の関係規則) は、数学では証明できない 「哲学的 ソリューション」 です── TM の文法のなかで唯一 数学的 ソリューション にならなかった規則 (前提) です。「常識 (『モノ が出来事に関与する』 という意識)」 で考えてくださいとしか言いようがない。

 数学的に あえて言えば、「ツォルン の補題」 を悪用した、と。つまり、並び (順序) について、「全順序は半順序の部分集合である 」 (ツォルン の補題)ということを、「全順序の補集合が半順序である」 と読み替えた次第です。そして、「関係」 の対称性・非対称性と 「並び」 を対応させて、「関係」 の非対称性 (event) を全順序として、「関係」 の対称性 (event 以外の補集合) を半順序を対応して、「並び」 を使って構造を示しました。

 私は、この ソリューション (全順序の補集合が半順序である) を 今以て悩んでいます。しかし、いっぽうで、こうしたほうが事業構造を 「情報 (記号列)」 から生成できる、という利点があるので、「常識」 で判断してほしいとしか言いようがない。






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