2009年 2月 1日 「技術編-21 サブセット の階構成」 を読む >> 目次にもどる
2017年11月15日 補遺  


 

 本節 (技術編-21) では、セット と サブセット との関係において、「階」 という表現を使っていますが、正確に言えば、「包摂」 関係です──すなわち、「包摂」 関係を 「階」 として記述しているにすぎない。「包摂」 関係は図式化しにくいので、それを 「階」 で記述するほうが図式化しやすから。

 さて、セット と サブセット のあいだで、「階」 (「包摂」) を考えるときは、セット の 「分割・細分」 を考えます。「分割・細分」 については、本 ホームページ の 432ページを参考にしてください。そして、「分割・細分」 を、もっと単純に説明するならば、「切断 (section、cut)」 という考えかたを使ってもいいでしょうね。「切断」 という考えかたは、デデキント 氏が 「無理数」 を定義するときに使った概念ですが(参考)、ここでは、デデキント 氏の やりかた を、もっとゆるやかに適用して、以下の条件によって、ひとつの セット を ふたつの (あるいは、ふたつ以上の) サブセット R1, R2 に分けることとしています。

    R1, R2 は、いずれも少なくとも一つの元 (メンバー) をふくんでいる。

 「切断」 概念を使えば、サブセット あいだには、以下の条件が満たされていなければならないでしょう。

 (1) 同じ階の サブセット のあいだでは、「排他的 OR」 関係が成立する。

 (2) 違う階の サブセット のあいだでは──言い換えれば、セット と サブセット のあいだでは──、
   「上下」 の入れ替えは起こらない。すなわち、「メンバー と集合」 を入れ替えることはできない。

 
 上述したように、本節 (「技術編-21」)で述べられている論旨は、「切断」 概念として一言で まとめることができます。



(参考) デデキント 氏の 「切断」 概念は、有理数全体を次のふたつの条件によって、ふたつの組 R1, R2 に分けて、(R1, R2) で表します。

  (1) R1, R2 は、いずれも少なくとも一つの有理数をふくんでいる。
  (2) R1 に属する有理数は、R2 に属する どの有理数よりも小さい。

 ちなみに、R2 を切断の 「上級 (上組)」 と云い、R1 を その 「下級 (下組)」 と云います。

 



[ 補遺 ] (2017年11月15日)

 セットを「切断」してサブセットを構成する。したがって、ひとつのセットに中に複数の区分コードがあって、サブセットが多重の包摂関係にある場合には──作図上、サブセットの階が多く生じる場合には──、階が下がるほど サブセットのメンバー数は少なくなる。サブセット のあいだに交わりがない場合でも、サブセット が多階になっていて、階の上下を入れ替えても 「意味」 が通じるなら、いわゆる 「多重継承」 になっている。たとえば、次の モデル を考えてみる。

1.
                                                                               
                                 営業所
                    │「国内・海外」区分コード
                     ┌────────┴────────┐
                     │                            │
                国内営業所                    海外営業所
                │「直営・委託」区分コード         │「直営・委託」区分コード
               ┌─┴─┐                ┌─┴─┐
               │      │                │      │
             直営店 委託店            直営店  委託店


        

2.
                                 営業所
                    │「直営・委託」区分コード
                     ┌────────┴────────┐
                     │                            │
                  直営店                        委託店
                │「国内・海外」区分コード          │「国内・海外」区分コード
            ┌──┴──┐           ┌──┴──┐
            │      │            │        │
     国内営業所  海外営業所      国内営業所  海外営業所

 「国内・海外」区分コードと「直営・委託」区分コードのいずれかが、「営業所」の構成条件にはならない。どちらの区分コードが構成条件にならないかを判断するには、次の条件を考えてみればいい。

 (1) そのもの-の
 (2) -に対して

 すなわち、かくかくの「区分コード」が しかじかのセットそのものの「性質」であるか、それとも しかじかのセットに対して「関係」のなかで付与される条件なのかを考えてみればいい。この例では、「直営・委託」区分コードが「関係」のなかで成立する条件であって、営業所のセットを構成しない──直営店は 契約上 委託店になることもあるし、委託店が直営店になることもできるけれど、国内営業所は海外営業所になることはできない [ 植民地にならない限りはw ]。したがって、「直営・委託」区分コードを「営業所」のセットから外して、しかるべき対応する──「直営・委託」entity を作って、「営業所」 と関係をとって、「営業所. 直営・委託. 対照表」を作るか、あるいは、営業所の「みなしentity」とする [ ただし、基本的には、区分コードに対して「みなしentity」は作らないことを注意してほしい。区分コードが「みなしentity」となる場合は、或る一定条件を満たした特殊な場合である ]。






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