2001年 6月10日 作成 数学基礎論 (全般): 入門編 >> 目次 (作成日順)
2005年12月 1日 更新  


 数学 (数学基礎論) の学習を始める前に、以下の書物を読んで下さい。

 ● 「数学 ヒ゛キ゛ナース゛ マニュアル」、佐藤文広、日本評論社 [ 第6章を読めば良い ]

[ 読みかた ] (2005年12月 1日)

 数学を大学時代に学習した人たちは、すでに、学習のしかたを知っているし、基礎概念・基礎技術も知っているので、こういう 「超」 入門書を読む必要はないでしょう。ぼくのように、高校時代には、数学が大の苦手で--たとえば、ぼくは、数学の試験で、100点満点中の 6点しか取れなかったこともありますが (苦笑)--、大学時代には、数学と縁のなかった人たちが、仕事のなかで、数学を使わなければならない状態になって、数学を一からやり直すときに、まず、読んでほしい書物です。
 そういう人たちが、数学を再学習する際、数学の体系を知らないので、「なにを、どういうふうに、始めればよいか」 という点は、皆目、わからないでしょう。

 ぼくが数学を再学習したとき、(数学の体系を知らなかったので、) どれほど馬鹿げたことをやったかを告白すれば、(ぼくは、コット゛ 関係 モテ゛ル の論文を読むために、数学を再学習し始めたのですが、) まず、岩波書店が出版していた 「数学講座 シリース゛」--全10巻ほどだったと記憶していますが--を購入して、第1巻から、順次、読み始めて--第1巻は、確か、「微分・積分」 だったと記憶していますが--、ついには、第1巻の途中で挫折しました (苦笑)。そして、ぼくは、「やっぱり、数学のできない頭の悪い ヤツ」 だと嘆いていました。一時、数学の再学習を諦めていたのですが、数学ができなければ コット゛ 関係 モテ゛ル を理解できないので、ぼくは、再度、数学の再学習を始めて、ほかの出版社から出ている数学の シリース゛ を購入して、また、同じ ヘマ をやらかしてしまいました。そういう ぼくが、いまでは、通勤電車のなかで、アルコ゛リス゛ム の書物を読んでいるし、「論理 テ゛ータヘ゛ース 論考」 を執筆するなどとは想像もできなかった (笑)。数学の再学習を数学基礎論 (現代集合論) に絞れば良いと気づいたのは、ウィトケ゛ンシュタイン 著 「数学の基礎」 を読んでからです。

 数学基礎論が学習対象であることに気づいたのは良かったのですが、数学基礎論の書物を買ってきて読んでも、皆目、理解できなかった。どの学問でも、専門用語が使われています。そういう専門用語は、書物を読みながら理解できると思っていたのですが、かならずしも、そうではないことに気づきました。たとえば、「高々」 は、「at most」 という意味ですが、それを知らなければ、「値は、高々1つである」 という文を理解することはできないし、n-組関係を記述した式のなかで、R { x1∈X1, ..., xn∈Xn ∧ P (x1, ..., xn) } の P (x1, ..., xn) を理解することができないでしょう。「高々」 という簡単そうに思われる専門用語を、うっかりと疎かにしてしまうと、学習を進めても、次第に、泥沼に落ち込んで、数式を観ても理解できない。

 あるいは、変項のあいだに成立する関係を記述する際に、( ) は 「並べる」 ことを示し、{ } は 「集める」 ことを示している--「並び」 を考慮しない--ことを知らなければ、数式を理解できないでしょう。「基数」 と 「序数 (あるいは、後続)」 は、「数」 の根本概念ですし、「後続」 という考えかたは、数学的帰納法・再帰的定義では、根本概念です。また、同値類 (「等しい」 という概念)--反射、対称、推移--は、集合・写像・関係では、根本概念です。そして、関係を図示したのが有向 ク゛ラフ です。こういう 「基本中の基本」 の概念を知らないままに、専門書を読みはじめても、理解できない (挫折する) のは当然ですね。

 そういう基本概念および基本技術ならびに基本規約を、初心者向けに解説した書物が、標題の書物です。
 ぼくのように、数学が からきし タ゛メ だった人たちは、それぞれの領域の学習を始める前に、まず、数学の約束事を知るために、ぜひとも、読んでほしい書物です。

 




 

 ▼ 入門書

 ● 数学・基礎の基礎、廣瀬 健、海鳴社
  [ 数学基礎論の重立った技術が、歴史的観点から (時系列に沿って) 記述されている。]

 ● 記号論理入門、前原昭二、日本評論社
  [ 数学基礎論の重立った技術が、テーマ 別に記述されている。]

 ● 新版 現代論理学、坂本百大・坂井秀寿、東海大学出版会

 ● 論理 テ゛ータヘ゛ース 論考、佐藤正美、ソフト・リサーチ・センター
  [「理論編」 を読めば良い。]

 ● 現代数理論理学入門、クロスリー J.N. 他 著、田中尚史 訳、共立全書

 ● 形式論理学、リチャート゛・シ゛ェフリー 著、戸田山和久 訳、産業図書
  [ 推論のやり方として 「タフ゛ロー の木」 を概説している。]

 ● 現代論理学と論理思想の基礎、遠藤 弘・白石光男・中田 勉 編著、八千代出版
  [ 入門書として、「様相の論理」 も概説してある。]

 ● 新しい論理序説、本橋信義、朝倉書店

 ● 情報時代の論理 (新しい論理学への誘い)、本橋信義、日本評論社

 ● 数学と新しい論理 (数学的帰納法をめぐって)、本橋信義、遊星社

 ● 論理学は数学の役に立つか? (新しい論理学の構築)、本橋信義、遊星社

 ● 反例からみた数学、岡部恒治・白井古希男・一松信・和田秀男、遊星社

 

[ 読みかた ] (2005年12月 1日)

 数学基礎論を、はじめて、学習する人たちは、まず、数学基礎論の歴史を学習して下さい。
 以下の書物を、まず、読んで下さい。

  (1) 数学・基礎の基礎、廣瀬 健、海鳴社

  (2) 現代数理論理学入門、クロスリー J.N. 他 著、田中尚史 訳、共立全書 [ 絶版、図書館で借りて下さい。 ]

 (1) を読んでから、(2) を読んで下さい--この順番で読んで下さい。もし、この 2冊を読んで、記号演算を理解できないなら、記号論理学の入門書を、どれでも良いから--「超」 初級向けで良いから--、2冊以上 読んで下さい。あるいは、後述する 「Q&A 数学基礎論入門」 (久馬栄道、共立出版) を読んで下さい。ぼくは、入門書として、以下の 2冊を読みました。

  (1) 記号論理学とその応用、石谷 茂、大阪教育図書 [ 昭和 42年版なので、絶版かも。]

  (2) 集合 (新しい数学への アフ゜ローチ 1)、矢野健太郎、共立出版 [ 昭和 41年版なので、絶版かも。]

 たぶん、これらの 5冊の中味あたりが、数学基礎論を学習するための起点 (閾値) でしょう。これらの中味を理解できなければ、いっそうの学習を進めるのは、むずかしいでしょうね--ただ、「現代数理論理学入門」 は、本文の記述は 120 ヘ゜ーシ゛ほどで コンハ゜クト なので、一読では、理解しにくいかもしれないけれど、本文のほかに、60 ヘ゜ーシ゛ ほど、訳者の解説が添付されていて、丁寧に読めば、(レーウ゛ァンハイム・スコーレム の定理を除いて、) なんとか、理解できるでしょう。

 もし、これらの 5冊を読んで、理解できないなら、攻めかたを変えて、記号論理学のほうを学習すれば良いでしょう。
 以下の 2冊を読んで下さい。

  (1) 記号論理学 (上・下)、ケ゛オルク・クラウス 著、門上秀叡 訳、青木書店 [ 1960年版なので、絶版かも。]

  (2) 記号論理学の原理、ライヘンハ゛ッハ H. 著、石本 新 訳、大修館書店

 クラウス の著作は、Logic を 5つの範疇 (命題論理、述語論理、集合論、関係の論理、クラス 論理) で説明しています。弁証法にも言及していますが、弁証法は読まなくても良いでしょう--ちなみに、ぼくは、弁証法を毛嫌いしていますので。この著作は、独学するには最適な書物だと思います。絶版なので、図書館で借りて下さい。ライヘンハ゛ッハ の著作は、第 7章・第 8章 (自然言語の分析) を読み飛ばして下さい。第 6章までは、入門書として役立ちます。

 以上の書物を、それぞれ、入手するのがめんどうならば、拙著 「論理 テ゛ータヘ゛ース 論考」 を第 6章まで読んで下さい。第 6章までは、それらの書物をまとめた記述です。

 




 

 ▼ 「集合論」 の入門書

 ● 集合論入門、赤 摂也、培風館

 ● 集合論序説、本橋信義、培風館

 ● ワンホ゜イント 双書 無限集合、森 毅、共立出版
  [ 読みやすい。集合論は苦手であると思っているなら、まず、この書物から読んで下さい。]

 

[ 読みかた ] (2005年12月 1日)

 「集合論入門」 (赤 摂也、培風館) は、集合論を学習するための 「定番」 かもしれない。版は古いけれど--1959年が初版ですが--、1997年に、増補第 50刷が出版されているので、いまでも、たぶん、入手できるでしょう。「入門」 とは言っても、いままで、数学が大の苦手だった人には、読みやすい書物ではないかもしれない。でも、地道に丁寧に読めば、集合論の基礎を独習できます。数学は、「前提」 (公理、仮説) を起点にして、飛躍のない生成規則を旨としていますので、もし、理解できない所があれば、立ち止まって、さきに進まないようにして下さい。そして、理解できなかった点から遡及して、原因を探って下さい。たぶん、先立つ前提のなかで、見落としていた点があるはずです。この書物は、数学が苦手だった人たちにとって、読みやすいとは言えないのですが、この書物を地道に丁寧に読めば、集合論の入門書として、ほかの書物を読まなくても良いでしょう。一意専心して読んで下さい。もし、この書物に記述されていることを理解できなければ、集合論の学習を諦めたほうが良いと思います。そういう言いかたは、皮肉で言っているのではなくて、この書物を理解できなければ、さらなる本格的な論文を読めないでしょうし、そうであれば、そもそも、集合論を学習しないほうが賢明です。というのは、この書物を理解することは終点ではなくて、起点ですから。

 「ワンホ゜イント 双書 無限集合」 (森 毅、共立出版) は、「読みやすい」 ですが、数学的な考えかたとして、高度な手法を説明しています。たとえば、不動点定理を使った存在証明を説明しています。この 「読書案内」 の初稿 (2001年) では、「集合論は苦手であると思っているなら、まず、この書物から読んで下さい。」 というふうに薦めていますが、不適切だったかしれない。集合論の基礎を確実に学習してから読んだほうが良いでしょうね。たとえば、上述した 「集合論入門」 (赤 摂也、培風館) を学習してから読んで下さい。
 この書物 (「ワンホ゜イント 双書 無限集合」) は、小冊子ですし、森 先生の筆も軽快なので、読みやすいのですが、語られていることは、現代集合論が、どういう考えかたをして、どのように応用できるのかという点なので、高度な中味です。高度な考えかたを、さらりと述べていますので、うっかりすると、一読して、「わかったつもり」 になる危険性が高い--2001年時点での ぼくが、そうでした (苦笑)。たとえば、f (x) = u ( g (x, x) ) の証明を、拙著 「論理 テ゛ータヘ゛ース 論考」 では、技術的に、合成関数を使った証明に変換していたのですが、ぼくは、はたして、その 「意味」-- f (x) = u ( g (x, x) ) の意味--を適切に理解していたのかしら。ちなみに、f (x) = u ( g (x, x) ) は、「X 上の関係」 の類 (クラス) を記述しています。そう言われても、「なんのこっちゃ」 と思う人は、たぶん、この書物を読んでも、理解できないでしょう。この書物は、集合・写像・関係に関して、或る程度の知識がある人たちが、考えかたを整理するために読めば良いでしょう。

 




 

 ▼ 述語論理の記号操作に馴れるための入門書

 ● Q&A 数学基礎論入門、久馬栄道、共立出版
  [ 読みやすい。数学の記号は苦手であると思っているなら、まず、この書物から読んで下さい。]

 

[ 読みかた ] (2005年12月 1日)

 この書物は、大学の文科系学生向きに執筆された書物です。いままで、数学が苦手であった人たちが、記号演算に慣れるためには、絶好の入門書です。入門書としては快挙と言って良いほど、お薦めです。
 記号論理学を学習しても、真理値表を作成する程度で止まっている人たちが、一歩を進めるために最適な入門書です。真理値表を作成することが、記号論理学ではないし、「証明」 は記号演算です。公理系を理解するためには、どうしても、記号演算に慣れていなければならないでしょう。

 「Q&A」 という書名が示しているように、例題を多数使って、記号演算のしかたを手ほどきしています。ヘ゜ン を手にして、実際に記号列を綴って下さい。自然推論 (NJ と NK) に関して、初級の技術を独力にて体得することができます。数学が苦手だった ぼくは、この書物のお陰で、苦手意識が消えましたし、後々、ヒルヘ゛ルト の入門的著作 (アッケルマン との共著 「記号論理学の基礎」 および ヘ゛ルナイス との共著 「数学の基礎」) を読むために役立ちました。
 記号演算は、数学の道具ですから、たとえ、われわれ シロート が数式を専門家のように操作することができないとしても、数式を読めなければならない。さきほども綴りましたが--「集合論入門」 (赤 摂也、培風館) のなかで綴りましたが--、もし、この書物 (「Q&A 数学基礎論入門」) に記述されていることを理解できなければ、述語論理の学習を諦めたほうが良いと思います。そういう言いかたは、皮肉で言っているのではなくて、この書物を理解できなければ、さらなる本格的な論文を読めないでしょうし、そうであれば、そもそも、述語論理を学習しないほうが賢明です。というのは、この書物を理解することは終点ではなくて、起点ですから。

 




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