2006216

応用編-2 「在庫」 は entity

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2011116日 補遺

 

 

 データ 構造を設計している エンジニア のなかで、「『在庫』 を entity である」 と言うような人はいないと思うが、では、「在庫」 の性質を、いったい、どのように考えれば良いのか (logical なのか) と問われたら、なかなか、説明しにくいのではないか。

 「在庫」 は対照表 (「倉庫. . 商品. 対照表) である。
 本節では、「在庫」 の構成を示しているが--対照表として生成される過程を示している。ただ、いまになって思えば、以下の 2点にも言及したほうが良かったと思う。

 (1) 継続記録法
 (2) 実地棚卸法

 継続記録法は、継続的な帳簿記録を使って 「在庫」 を計算するやりかたであり、以下の等式が成り立つ。

  期首在庫残高 + 当期入庫数 − 当期出庫数 = 期末在庫残高.

 なお、在庫商品には、減損・損失が起こったりするので──たとえば、摩耗とか紛失など──、実地に棚卸しをして計算される実地棚卸高に比べて、帳簿棚卸高のほうが超過する現象が起こる。それらの減損・減耗は棚卸減耗損として計上される。本節で示した データ 構造は、継続記録法を前提にしている。

 「在庫」 は、対照表であると前述したように、「倉庫」 と 「棚」 と 「商品」 という事実的な 「F-真」 概念を前提にした 「L-真」 概念である。継続記録法は、「L-真」 を担保した計算式である。いっぽう、実地棚卸法は、実査立会を前提にしているので、「F-真」 (棚卸商品──すなわち、商品──を実査すること) を検証する。

 ちなみに、本節では、「1つの entity から派生する複数の対照表は統合できる」 ことを述べているが、以下のように考えれば妥当であることが理解できる。

  (p∧q) ∧ (q∧r) ≡ p∧ q∧q) ∧ r ≡ p∧q∧r.

 (p∧q) と (q∧r) は、それぞれ、対照表を示している──「倉庫. . 対照表」 と 「棚. 商品. 対照表」 を示している。すなわち、p は倉庫 コード を、q は棚番号 を、r は商品番号を指示している。 □

 



[ 補遺 ] 2011116日)

 本 エッセー で示した論理式 (p∧q) ∧ (q∧r) は、「在庫」 の記号演算として「間違っています」。申し訳ない。
 正しい論理式は、以下のとおり。

    (p ∧ q) ∧ r.

 というのは、「商品」 は、倉庫のなかに設置された棚、すなわち 「倉庫. . 対照表」 と関係を構成するのが正しいので──逆に言えば、「棚. 商品. 対照表」 は無意味だということ。

 対照表の性質・文法は、以下のように覚えてください。

 (1) 構文論上、「resource」 の束として扱う。
   したがって、「resource」 の文法を適用する。

 (2) 意味論上、基本的には、「event」 として 「解釈」 する。
   ただし、「resource」 として 「解釈」 することもある。

 したがって、本 エッセー で述べた構成を TMD にすれば、以下のような構成になります。

 { 倉庫 コード、・・・}.

 { 棚番号、・・・}.

 { 倉庫 コード (R)、棚番号 (R) . [ F-]

 { 商品番号、・・・}.

 { 倉庫 コード (R)、棚番号 (R)、商品番号 (R) . [ F-] <-- これが 「在庫」







 

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