2020年 9月15日 「7.1.4 同型(isomorphic)」 を読む >> 目次に もどる


 群・体・環のような代数系 R に対して同じ種類の代数系 R' への写像 φ が 「1 対 1」 対応であるとき、φ を同型写像と云います。そして、同型写像があるとき、R と R' は同型であると云います。同型関係は、ひとつの同値関係であって、同型な ふたつの代数系は同じ構造をもつ。ちなみに、ふたつの代数系のあいだに写像があるけれども、その写像が 「1 対 1」 対応とは限らない場合、「準同型」 と云います。

 さて、モデル は、現実的事態の写像 [ 形式的構造 ] です──正確に言えば、現実的事態とは、「記号化された」 事象のことを云い、その対象領域は記号列として表されます。つまり、記号化された現実的事態と モデル とのあいだに写像があるということです。そして、その写像は同型写像です。この考えかたを前提にして事業構造の モデル を構成することを 「論理的意味論」 と云います──「論理的意味論」 は、意味論とは云っても、記号列を対象にした写像を扱うので、当然ながら、構文論が先で意味論は後です。TM は 「論理的意味論」 の モデル 技術です、同型写像の規則を示した体系が TM です。

 ただし、「意味論」 とは、数学 (数学基礎論) では──たとえば、代数系では──、「1 対 1」 対応を前提にして、「真とされる値が充足される」 ことを云いますが、事業構造を対象とした モデル では、その 「真」 を実現する 「(取引上の) 制約束縛」 が論点となることは すでに述べたとおりです。事業構造を対象にした モデル では、次の 2点が モデルの 「完全性 (構文論的な無矛盾性)」 「健全性 (意味論的な真)」 を満たす要件です──「『関係』 の網羅性」 と 「『制約束縛』 の網羅性」。この 2点を べつの ことば で云うと、「妥当な構造」と 「真とされる値の充足」 であり、さらに端的に言えば、「L-真」(導出的な真) と 「F-真」(事実的な真) ということです。なお、事業構造を対象にした モデル において、準同型とは、たとえば 「null を認める」 ということ。 □

 




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