2021年11月 1日 「11.4 帰納的に可算」 を読む >> 目次に もどる


 再帰 (recursive) は、数学的には 「帰納的に可算である」 ことを云います。すなわち、自然数の集合 S が原始帰納的関数 g: Nk→N を使って、S = { g(0), g(1),・・・} と表されるなら、S は 「帰納的に加算である」 と云います。すなわち、「帰納的に可算である」 とは S の メンバー を並べる計算手続きがあるということです、帰納的関数 f (N) = { g(0), g(1),・・・} = S が存在するということです、このとき f は S を列挙する (enumerate) と云います──ただし、メンバー は大小関係で並んでいなくてもいいし同じ値がくり返されてもいいし [ 対角線論法を思い起こしてください ]、空集合も 「帰納的に可算である」 とされています。

 「帰納的に可算な集合」 と 「帰納的集合」 は違う点に注意してください。「帰納的に可算な集合」 S では、x ∈ S であるかどうかは、もし S が有限領域であれば、メンバー を列挙すれば いずれ わかる (現れる) かもしれないのですが、もし 「無限」 に続くのであれば、¬ (x ∈ S) を判断できないかもしれない。「帰納的集合」 であれば、その集合の特徴関数が計算可能なので、x ∈ S なのか ¬ (x ∈ S) であるのかを判断できます。なお、S ⊆ N が帰納的に可算であって、かつ その補集合 Sc が帰納的に可算であれば、当然 S は帰納的です。集合が帰納的であるという意味は、その特徴関数が帰納的であるということです。

 この 「帰納的に可算である」 かどうかという論法が、「不完全性定理」 で使われているのです。 □

 




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