思想の花びら 2019年 2月 1日


 ●  アラン (哲学者) のことば

  悟性の原理と理性のおきてをはっきり区別しておく必要がある。この仕事を最もみごとにやったのが カント で、両者が理路整然と書きわけられている。ここに彼の説を要約し説明しようとは思わないが、最もたいせつな点だけを述べてみよう。数学は、おのずから悟性原理の システム を形成している、言いかえれば、僕らが経験においてどういうものを捕えるにせよ、一定の形式をふまねばならぬ、その形式が無くてはなにものも捕えることができない、そういう形式の数々についての目録を形成しているのである。この事情は次のような一般原理で現わされる、すなわち時間と空間との関係によって、他のいっさいの物と結ばれていないような対象も事実も、経験のうちには絶対にない。完結した システム のなかの変化で、諸変化の間の空隙というものは別だが、なんらかの不変な量の存続を許さないような変化は断じてない。このあとの方の原理が、変化の定義自体であることに、注意したまえ。

 



 ●  亀井勝一郎 (批評家) のことば

  信仰の途上における最大の誘惑は、自分だけ一足先に救はれようとする焦燥であらう。信仰に限らず、すべてはかくのごときであるが、最も救はれ難い最低線に赴き、己の裡にもそれを生々と感じる心が何故え難いのであるか。

 


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