思想の花びら 2019年10月15日


 ●  アラン (哲学者) のことば

  最も幸福なのは、適当に学ぶ余裕は充分にありながら、すべてを知りつくそうというむやみな野心に悩まされない人たちで、彼らは、物事を素直にむりなく考える。じつを言えばそういう精神の動きがいちばん正しいので、そういう精神は、他人の証明などは、いわば余計なお世話だと考える。(略) 彼らは、質問責めにもあい、相手の言い分をいちいち聞いて、理解もするが、証明の押売りにつけこまれぬような断固たる注意力で、各人の言い分を結びあわせてまとめ上げぬ、そういう術を知っているのだ。

 



 ●  亀井勝一郎 (批評家) のことば

  つねに最後のものであれ、一切の赦されざるもの、呪はれたるもの、その業苦の海に身を没し、最深の地盤に御身の足が確乎とつくやうに、さうなるまで沈んで行くがいゝ。(略) 最低の地獄を継いで崩れざる人柱たること、これを捨身といふ。(略)──人生に耐へよ。

 


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