思想の花びら 2020年10月15日


 ●  アラン (哲学者) のことば

  貪欲家は、事物よりむしろ自分の権利を楽しむ。他人の同意を強いる動かしがたい勝利の確立、これが貪欲家に固有の勝利なのだ。(略) 所有や利用を享楽し、富や力を得る、言ってしまえば、見かけの権利を粧っているので、これが彼らをだます。(略) 見せびらかしたい権利だ、だがじつは彼がいちばん持っていないのが権利なのだ。(略) こういう種類の人間については、これだけ述べれば充分であろう。病気からなおりたかったら、自分が軽蔑されていることを知るがよい、自分が仲間だけの社会を作っていることを知るがよい。

 



 ●  亀井勝一郎 (批評家) のことば

  しかし自己に絶望し、人生に絶望したからと云つて、人生を全面的に否定するのはあまりに個人的ではないかと私は思つてゐる。こゝでさきに述べた邂逅といふ事実を思ひ出して頂きたい。人生は無限にひろく深い。我々の知らないどれほどの多くの真理が、美が、或は人間が、隠れてゐるかわからない。それを放棄してはならぬ。自分中心だけで考へると狭くなるものだ。その狭さからくる人生否定を私は好まないのである。

 


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