思想の花びら 2021年 5月 1日


 ●  アラン (哲学者) のことば

  僕は、憎悪を怒りの原因というよりむしろ結果だと考える。憎むとは、自分がいらだつのを見越すことだ。(略) 怒りを我慢するのはむずかしいが、怒りから憎悪に飛び移ることは賢者が決してやらないことだ。

 



 ●  亀井勝一郎 (批評家) のことば

  文学を志す人、或は文学好きの人に、案外怠け者が多いといふことである。文学とはやはり一種の学問である。自分の経験や周囲の事件をたゞ書くのではなく、ひまさへあれば自分の範となるに足る古人先輩の作品に接して、これを学ぶ必要がある。(略) 誰か尊敬する人をひとり選んで模倣することが必要である。独創的たらんとするよりは、尊敬する人の前に自己を放棄して、専ら模倣することが、結局人間を独創的たらしめるのである。模倣のうちにすでにその人の能力はあらはれてくる。高く模倣する人もあり、低く模倣する人もある。模倣を実は非常に困難なことなのだ。さういふ点で勉強は一刻も忘れてはならぬ。

 


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