思想の花びら 2022年 1月 1日


 ●  アラン (哲学者) のことば

  そして、真の過失は常になにものも信じないところにあるのだ。悪を成就するのは鎖を解かれた精神だが、悪に手をかけるのは鎖につながれた精神だ。だが自由な精神は、行きあたりばったりに酩酊することができる、だが、どうしてもまた酔わずにはいられぬほど酩酊に未練をもたぬものだ。楽しみを分ちながらでも他人を害することができるし、破廉恥に従えばことごとくの人を害する、そうなると節制を破る過失もまた恐ろしいものになることを言い添えておく。

 



 ●  亀井勝一郎 (批評家) のことば

  「空」 とは ヘブライ 語では、「直ちに消ゆるもの」 という意味である。日本ではこれが仏教から来ていることは周知のとおりで、「無常感」 というかたちで日本人には普遍的な感情になっている。それは人生と人間を凝視する一種の リアリズム と云ってもよかろう。対象の実態の推移変転の相を見究めようとするのである。しかしこの叡知は、同時に 「常住真実」 なるもの──即ち 「仏」 においてはじめ叡知である。「常住真実」 なるものが一方に在って、はじめて 「無常迅速」 なるものが語られるのである。

 


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