思想の花びら 2022年 4月15日


 ●  アラン (哲学者) のことば

  正義は外からの助けをなに一つ借りないで、ただ自己の力で、会ったこともない知らない人間を相手に、作ったり作り直したりしなければならぬ或るものだ。
  力は不正そのものと思われがちだが、じつは力は、正義にとってはあかの他人だと言った方がいいので、狼が不正だとはだれも思わぬ。だが、お話に出てくる理屈を言う狼は不正だ、この狼には他人の承認がほしいからだ、そこに不正が現われる、つまり不正とは精神のある主張だということになる。

 



 ●  亀井勝一郎 (批評家) のことば

  現実に直面して、妥協したり裏切ったりする危険は誰でももっている。死をもって脅かされるとき、人間はどうなるかわからない。しかし、わからないから、あるいは心が不安定だからと云って、一つの信仰、一つの理想を捨てることが出来るだろうか。前途に横わる困難を精密に計算出来るものではない。たとえ計算しても、どんな運命に見舞われるかわからない。人間の計算力をもって、信仰や理想をはかってはなるまい。

 


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