2008年 4月 1日 「技術編-1 T字形 ER手法の体系」 を読む >> 目次に もどる
2013年 4月16日 補遺  


 本書を出版した頃に、「T字形 ER手法」 という言いかたを使わないようにして、「TM」 という言いかたをしてきました。本書のなかでも、「T字形 ER手法」 という言いかたを、いまだ、使っていますが──「T字形 ER手法」 という呼称が広く知られていたので、本書では、いきなり、「T字形 ER手法」 という呼称を止める訳にはいかなかったので、とりあえず、「T字形 ER手法」 という言いかたを使っていますが──、本節のなかで、「TM (および、TM’)」 という言いかたを導入しました。

 TM は、以下の体系です。

 (1) 個体の認知
 (2) 個体の性質・関係の性質
 (3) 関係の文法
 (4) データ の周延
 (5) データ の多値

 以上の体系に、さらに、「みなし概念」 を導入した体系が TM’ (TM ダッシュ、あるいは TM プライム) です。したがって、「T字形 ER手法」 と かつて呼ばれていた体系は、TM’ に対応します。

 TM (および、TM’) は、かつての 「T字形 ER手法」 という言いかたを単純に言い換えた訳ではない点に注意して下さい。TM (および、TM’) は、「T字形 ER手法」 を 学問的な (ロジックの) 「モデル 理論」 の観点から見直した改良版です。

 「T字形 ER手法」 から TM への変更点で最大の改良点は、「意味論」 に対する配慮でした。そのために、「理論編」 の前半は、「真」 概念を まとめた次第です。TM (および、TM’) では、「意味」 を以下のように考えています。


             指示関係(F-真)
     ┌─────────────────────┐
     ↓                     ↓
   現実的事態       語彙 ←──────→ 文 (構成)
                ↑   文法(L-真)  ↑
               意義          意味
                ↑
               合意

 
 すなわち、「(ことばの) 意味」 は、「ことばの使いかた」 で示される、と。
 「集合論」 では、内包 f (x) を 「意味」 としていますが、(「論理的意味論」 に属する) TM は、単語そのものを 「意義」 として、単語 (語彙) を使って構成された文のなかで 「意味」 が示されるとしています。

 「T字形 ER手法」 は、どちらかと言えば、データ 設計法でしたが、TM (および、TM’) は、「言語の形態論 (「意味」 の分析法)」 の色彩を強めました。TM は、文法 (構文論) を重視した 「論理的意味論 (logical semantics)」 の モデル です。ここで云う 「モデル」 とは、勿論、単なる画法ではなくて、「理論編」 で まとめたように、「語彙と文法」 を揃えた言語で示される 「構成 (modeling)」 のことです。
 「T字形 ER手法」 という言いかたは、「構成」 を示す際に、「T之字」 記法を使っていたことが理由でした。したがって、TM を モデル の観点から規整すれば、以下の 2つに分けたほうが妥当でしょうね。

 (1) TML (TM Language)
 (2) TMD (TM Diagram)

 TML は、「経験論的な言語 L」 として、以下の体系になっています。

 (1) 言語 L の語彙 (entity として記述される項)

  (1)-1 ロジック の語彙
  (1)-2 観察術語

 (2) 言語 L の文生成規則 (関係文法)

 
 なお、「経験論的な言語 L」 については、「理論編」 を復習して下さい。

 今後、TM を 「TML とTMD」 というふうに、ふたつに切り離して言及するでしょう。 □

 



[ 補遺 ] (2013年 4月16日)

 TM の技術体系は、現時点 (バージョン 1.3) では、次のように改訂されました。

  (1) 主題と条件
  (2) 関係の性質 (対称性、非対称性)
  (3) 関係の文法 (半順序、全順序)
  (4) 集合 (セット)
  (5) 多値関数 (OR 関係と AND 関係)
  (6) クラス

 数学基礎論の観点から検討し直して、この体系としました。
 したがって、TM は 「論理的意味論」 を重視した モデル 技術です。





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