2002年10月16日 作成 禅・仏教 (全般) 辞典 >> 目次 (作成日順)
2007年 3月16日 更新  


[ 読みかた ] (2007年 3月16日)

 仏教は、前 5世紀頃、印度の ガンジス川中流地方で、仏陀釈迦牟尼の説法から興ったが、仏滅後百年頃から部派 (上座部と大衆部) に分裂して、ついには、20部派に分派した。1世紀頃、部派仏教に対して、大乗仏教が興った。印度の仏教は、13世紀初頭に滅びたが、仏教は、東 アジア・東南 アジア・チベットに伝播して、いまも、信仰されている。仏教は、伝来の経路を考慮すれば、南伝仏教と北伝仏教とに分かれる。南伝仏教は、スリランカ を中心に広まった上座部仏教である。北伝仏教は、西域 (中央 アジア) から中国に伝わった経路と、ネパール を経て チベット に伝わった経路があるが、北伝仏教は大乗仏教である。仏典も、サンスクリット (梵語) のほかに、伝来の経路ごとに、以下のような種類がある。
 (1) 南伝仏教は、パーリ 語 (Pali) 仏典。
 (2) 漢訳仏典。
 (3) チベット 語仏典。

 日本では、公式の伝来は、百済の聖明王が朝廷に仏像・経典などを献上したとき (538年) とされている。日本に伝わった仏教は、漢訳仏典を主とした大乗仏教である。日本に仏教が伝来して、飛鳥時代に、蘇我氏と聖徳太子が崇仏をすすめたが、天皇 (推古天皇) は、異国の 「神」 である仏に対して、積極的に関与しないで、みずから、寺を建てることもなかったし、仏事を営むこともなかった。寺を建立した最初の天皇は舒明天皇である。舒明天皇の二人の子息 天智天皇・天武天皇も積極的に仏教を取り入れた。飛鳥仏教 以後、南都仏教 (六宗)、平安仏教 (天台宗・真言宗) が興隆した。それらの仏教に対して、鎌倉新仏教 (浄土宗、浄土真宗、禅宗、日蓮宗) が興った。鎌倉新仏教は、中世の世相と (旧仏教の) 「本覚思想」 に対して、いかに対応するかを課題として、選一思想・大衆化を特徴にしていた。

 上述したように、仏教は、印度・西域・中国・東南 アジア および日本というふうに広範に伝播し、3,000年以上の歴史をもっているので、仏典は、多種であり難解である。仏典に関して、さまざまな解釈があっても、仏教という 1つの宗教であるからには、さまざまな宗派は、以下の点で一致している。教祖釈迦を ブッダ (仏) として拝し、禅定などの実践修行を勤めて解脱 (げだつ) する、と。

 仏・祖師の教えは仏典に記されている。その記録を調べて、教えを正確に理解しなければならない。そもそも、古代・中世と現代では、環境が違っている。現代が仏・祖師の生きた時代と どれほど違っているのかを対比してみて、はじめて、仏・祖師の教えを論じることができる。現代の 「識」 をもって、古い時代を非難するなら、たやすい。しかし、そういう やりかた こそ、「私智」 を軸にして時代を無視した やりかた であって、歴史などいらないことになってしまう。仏典を正確に理解するためには、仏・祖師が生きた時代のなかで使われた 「ことば」 を再生しなければならない。そのためには、辞典が役立つ。
 たとえば、仏教上、「識」 という ことば ひとつを理解するにも、非常に難しい。

 亀井勝一郎 氏は、歴史を語る際、「招魂」 を大切にしていた。「招魂」 は、「私の計らいを止めれば、相手が おのずから語る」 ということである。「招魂」 とは どういう営みのか を知るには、かれの著作 「聖徳太子」 「親鸞」 を読んで下さい。

 





 ▼ [ 仏教 (全般)]

 ● 宗教学 ハンドブック、水野弘元・柴田道賢 監修、世界書院

 ● 佛教学辞典、多屋頼俊・横超慧日・舟橋一哉 編集、法蔵館

 ● 岩波 仏教辞典(第二版)、中村 元・福永光司・田村芳朗・今野 達・末木文美士 編、岩波書店

 ● 仏教語読み方辞典、有賀要延 編著、国書刊行会

 ● 織田 佛教大辭典 [ 補訂縮刷版 ]、織田得能 著、大蔵出版

 ● 模範 佛教辭典、東方書院編輯部、大文館

 ● 佛教大辞典 [ 縮刷版 ]、中村 元 著、東京書籍

 ● 例文 仏教語大辞典、石田瑞麿 著、小学館

 ● 日本佛教語辞典、岩本 裕、平凡社

 ● 逆引仏教語辞典、逆引仏教語辞典編纂委員会 編、柏書房

 ● 基本梵英和辞典、Bharat Bhushan Vidyalankar・Anil Vidyalankar・Iwao Nakajima、東方出版

 


 ▼ [ 禅 (全般)]

 ● 禅語小辞典、佐橋法龍 著、春秋社

 ● 禪林名句辭典、飯田利行 編著、国書刊行会

 ● 新版 禪學大辭典、駒澤大學内 禪學大辭典編纂所 編、大修館書店

 ● 正法眼蔵用語辞典、中村宗一 著、誠信書房

 ● ZEN dictionary、Ernest Wood、TUTTLE

 ● A Glossary of Zen Terms (和英 禅語 グロッサリー)、稲垣久雄 編、永田文昌堂

 ● 日英禪語辭典(THE JAPANESE-ENGLISH ZEN BUDDHIST DICTIONARY)、横井雄峰、山喜房佛書林

 


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