2002年11月 1日 作成 聖書を読む >> 目次 (作成日順)
2007年 4月 1日 更新  


 聖書に関する文献を記載する。

 聖書は、おそらく、人類の歴史のなかで、一番多く読まれてきた文献でしょう (最大の ベストセラー でしょう)。聖書を読書の対象とすれば、聖書を解説した多数の文献が出版されているので、聖書を研究している専門家でないかぎり、系統だった読書をすることはできないと思う。

 以下に紹介する記載は、小生 (佐藤正美) が興味のままに集めて読んでいる文献であって、聖書を系統的に研究することを目的とした文献 リスト ではない。



[ 読みかた ] (2007年 4月 1日)

 不敬な告白になるが、私は、「信仰」 の対象として聖書を読んでいる訳ではない。私が聖書を読んでいる理由は、欧米の思考法を知るためである。たとえば、西洋哲学を学習していたら、どうしても、聖書 (あるいは、「神」) を無視することができない。中世哲学として アウグスチヌス、そして、近世哲学として デカルト・スピノザ (ユダヤ教)・ライプニッツという系譜のなかで 「神」 は中核を占めている。そして、その影響は、ウィトゲンシュタイン にも及んでいる。つまり、欧米の思考法 (あるいは、西洋哲学に限ってみても) を学習するなら、聖書あるいは神を避けて通れない。

 アウグスチヌス とって、「神」 は聖書のなかに示されている神であるが、デカルト が直知した--徹底的に考えて疑うことのできない事実として辿り着いた--「神」 は、精神と肉体のあいだで精神を統制する神であって、聖書のなかの神ではないし、スピノザは (ユダヤ 教に属していたが、破門されて) 「自然 (全体)」 を神と考えて、ライプニッツ は 「モナド」 を考えて、すべての 「モナド」 のなかで ほかの 「モナド」 を統制する最高の 「モナド」 として 「神」 を考えていた。いずれにしても、「神」 は、かれらの思考では中核を占めていたし、思考の底流として、聖書のなかに示された 「神」 が、なんらかの形で、関与していることは西洋哲学の特徴になっている。したがって、聖書のなかで語られていることを無視して西洋哲学を語ることはできない。だから、私は聖書を読んでいるという次第である。

 聖書のなかに記述されている 「奇蹟」 が実際に起こったかどうか は、私にとって、どうでもいいことである。ただ、聖書を記した人たちが、そういうふうに記述した、「神」 に対する信仰を私は敬いたい。
 亀井勝一郎氏は、以下の アフォリズム を遺している。

      耶蘇の最後を描いた多くの宗教画は、彼とともに刑された二人の盗賊を、遠景のように乃至は
     脇士のように小さく扱っている。耶蘇への尊敬が かくあらしめたのだろうが、これは かなり不正確
     なことだ。ローマ 人にとって耶蘇は二人の盗賊と ひとしい罪人であって、この三人は同じ資格に
     おいて刑されたにちがいないのである。基督信徒にとっては堪え難いところだろうが、しかし この
     ために耶蘇の運命は明確に刻印されたのではなかろうか。耶蘇は真理であっても、真理として刑
     されたのではない。ローマ 人の眼には二人の盗賊と同列に扱って然るべき罪人であった。最後に
     うけた この激しい屈辱、これが耶蘇の死の鮮かさであり、眠れる者を覚醒せしむる衝撃となった
     にちがいない。(参考 1)

      人間史をひもといて誰でも気づくことは、古代から現代まで、あらゆる時代を通じて、宗教のから
     みついていない時代は ひとつもないということだ。それほど人間は神や仏を求めたということは、
     それほど人間は人間自体に絶望してきたということであろう。(参考 2)

 
 (参考 1) 「思想の花びら」、大和人生文庫 E-25、195 ページ - 196 ページ。
 (参考 2) 「思想の花びら」、大和人生文庫 E-25、98 ページ。





 ▼ [ 聖書そのもの ]

 ● The Interliner Bible [ Hebrew, Greek, English ]、Jay P. Green, Sir、HENDRICKSON PUBLISHERS
   [ ヘブライ 語・ギリシア 語・英語の対訳本です。]

 ● 聖書 (世界古典文学全集)、関根正雄・木下順治 編、筑摩書房

 ● 聖書 (旧約聖書・新約聖書)、日本聖書協会

 ● 新約聖書 (新共同訳)、日本聖書協会

 ● THE HOLY BIBLE [ KING JAMES VERSION ]、IVY BOOKS

 ● HOLY BIBLE [ OLD AND NEW TESTAMENTS ]、AMERICAN BIBLE SOCIETIY

 ● THE BIBLE [ illustrated, revised standard version ]、THE (BRITISH & FOREIGN) BIBLE SOCIETY

 
 欧米の思考と向き合うのなら、聖書は必読書なのですが、聖書を、いきなり読むには抵抗があると感じていらっしゃる人々には、(邪道と譏られるかもしれませんが) たとえば、以下の書籍のように 「子ども向け」 に綴られた聖書を 「物語」 (英文) として読むことをお薦めします。

 ● A CHILD'S BIBLE [ OLD TESTAMENT ]、PICCOLO

 ● A CHILD'S BIBLE [ NEW TESTAMENT ]、PICCOLO

 


 ▼ [ 解説書 ]

 ● 聖書の世界 総解説、自由国民社

 ● イエス・キリスト (人類の知的遺産 12)、荒井 献、講談社

 ● 増補新版 新約聖書略解、山谷省吾・高柳伊三郎・小川治郎 編集、日本基督教団出版部

 


 ▼ [ 語彙索引・辞典・事典 ]

 ● 新共同訳聖書 コンコルダンス (聖書語句辞典)、木田献一・和田幹男 監修、キリスト 新聞社

 ● 新共同訳聖書 コンコルダンス (聖書語句索引)、新教出版社

 ● 新聖書語句辞典、松本任弘 監修、いのちのことば社

 ● ROGET'S THESAURUS OF THE BIBLE、A. Colin Day、HARPER COLLINS

 ● 聖書思想事典、Z. イェール 翻訳監修、小平卓保・河井田研朗 翻訳、三省堂
   [ VOCABULAIRE DE THEOLOGIE BIBLIQUE(フランス 語の事典)の翻訳 ]

 ● キリスト 教用語辞典、小林珍雄 編、東京堂出版

 ● 新約聖書神学事典、東京神学大学新約聖書神学事典編集委員会 編、教文館

 ● 聖書事典、桑田秀延・手塚儀一郎・松本卓夫 監修、日本基督教団出版社

 ● 聖書辞典、常葉隆興 他 責任編集、いのちのことば社

 ● 岩波 キリスト 教辞典、大貫 隆・名取四郎・宮本久雄・百瀬文晃 編集、岩波書店

 
  なお、「禅・仏教」 の文献と 「聖書」 の文献を記載したので、東西の思想を 「比較」 するために、以下の事典を拾い読みするのも一興かもしれない。

 ● 比較思想事典、中村 元 監修、峰島旭雄 責任編集、東京書籍

 


  << もどる HOME すすむ >>
  読書案内