2023年 3月 1日 「2.6 文 『雪は白い』 が真であるのは...」 を読む >> 目次に もどる


 論理的意味論では、形式言語の 「意味」 は、対象領域上で、指示的な 「解釈」 として考えられていることを 「レーヴェンハイム・スコーレス の定理」 で述べました。その指示的意味論を 「真理条件」 として定立した人物が タルスキ です (「形式言語における真理概念」、1933年)。タルスキ は 「真」 を次のように定義しました──

    「p」 が真であるのは、p のときに限る。

 この定義文の有名な具体例として次の文が 多々 引用されてきました──

    文 「雪は白い」 が真であるのは、雪が白いときに限る。

 タルスキ は、クラス 算について この真理条件を説いていて、数学は無限・全称を前提にしています。形式言語の この無限・全称を自然言語のなかで制限するために 「時刻」 という条件を付して、タルスキ の真理条件を自然言語に拡張した人物が デイヴィドソン です。デイヴィドソン の定義は次のとおり──

    言明 「p」 が真であるのは、時刻 t において、事態 p と対応するときに限る。

 この定義文を 「規約 T」 とか 「T 文」 と云っていますが、べつに難しいことを言っている訳ではなく、われわれが使っている日常言語 (自然言語) では、文が記述していること (「意味」) の真偽は、文と事物・事態との一致を検証するのが当たり前でしょう、それが言語の性質でしょう。モデル TM では、デイヴィドソン の 「T 文」 を F-真 (事実的な真) としています。なぜなら、監査証跡として、管理過程で使用されている 「情報」 は、事業のなかで生起する 「取引」 および それに関与する モノ と実査して正しいこと (真) を検証するからです。ちなみに、モデル TM では、デイヴィドソン が彼の著作 「真理と解釈」 のなかで説いているように、「意味」 という語を使わないで、「真」 という語を一貫して使っています。 □

 




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