2023年 3月15日 「2.7 事実的真(F- 真)は 1つしかないが...」 を読む >> 目次に もどる


 「論理」 上、正しさ (真) とは次の 2つを要件としています──

    @ F-真 (「事実」 と一致している 「真とされる値」)

    A L-真 (「真とされる値」 を導く 「無矛盾な」 演算構造)

 F-真の F は 「Fact (事実)」 の略で、L-真 の L は「Logic (論理)」 の略です。

 論理的意味論では、「構文論が先で、意味論は後」 です。すなわち、無矛盾な演算構造が立てられて、その構造を構成する変数のなかに真とされる値が充足されたとき、そのときに限り真とされる (真理条件を満たす) のです。そして、「真理条件を満たす」 ということが 「...の モデル である」 ということです。本書で述べる技術は一貫して この条件 (L-真かつ F-真) を前提にしています。それゆえ、私は、本書では 「意味」 という語を使わないで──「意味」 という語に代えて──「真」 (L-真、F-真) という語を使っています。

 L-真は文脈 (文字列) の構成/構造を論じて、F-真は文字列のなかに定義されている個々の文字変数の値を論じています──すなわち、「意味」という語を使っていえば、L-真は 「『意味』 の使用説 (文脈のなかでの意味 meaning)」上の概念であり、F-真は 「『意味』 の対象説 (語と値との 1-対-1 対応関係 sense)」上の概念です。L-真(無矛盾な構造)は、本節で例を示したように、複数 構成することができます。そして、その構造を構成する変数のなかに真とされる値が充足されたら、その構造は 「正しい」 とされます。

 「事実(現実的事態)」 は 1つですが、それについての L-真 構造は複数 構成することができます。モデル を 「現実 (事実) を写像した形式的構造」 というふうに定義すれば、事業過程・管理過程を対象にしたとき、モデル が真理条件を満たすためには事業構造と一致していることが要件になります。そして、事業構造と形式的構造 (モデル) が一致していることをうけあうのは、事業の プロセス の並び (順序) が形式的構造の変数の並びと一致していることです。その一致を正当化する要件として、デイヴィドソンの真理条件を私は TM のなかに導入したのです──この真理条件は、事業構造を形式的構造として構成するときに関数を使っても、関数のなかの変数の並びとしての規準にも適用できます。 □

 




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