2019年 2月 1日 「1.4 表現関係と指示関係」 を読む >> 目次に もどる


 本節 (「1.4 表現関係と指示関係」) は、ポパー 氏の学説を流用して、「構文論と意味論」 に対応するように配置しています。本節に綴っていることは、前書 「赤本」 のまま流用しています (拙著 「データベース 設計論──T字形ER」 理論編-1 参照)。

 ポパー 氏は、「第三世界」(客観的意味の世界) の性質を述べることに重点を置いていますが、私は 「表現関係」(「記号」 と 「解釈者」 との相互関係) に寧ろ拘った。「第二世界」(心的状態の世界) は認識主体 (「解釈者」) の世界ですが、それを モデル (「第三世界」) として表現するには、当然ながら、「論理」 を使わなければならない。すなわち、「表現関係」 というのは、「論理規則を使って表現する」 ということです──少なくとも、事業を対象にして モデル (事業を写像した形式的構造) を作るのであれば、そして ユーザ が使っている ことば (記号) を前提にして モデル を作るのであれば、ことば の 「意味」 は ユーザ が使っている 「意味」 の他に外側から勝手に新たな 「意味」 を持ち込んではならない。したがって、「表現関係」 は構文論上で論じられるべき性質であって、「論理規則に準拠して モデル を生成する」 ということを云っています。「指示関係」 は 勿論 意味論のことを云っています。

 前書 「赤本」 は、「表現関係と指示関係」 の直後に (理論編-2 で) 「構文論と意味論」 を配置して、「表現関係と構文論、指示関係と意味論」 の対応関係を示していますが、本書 「いざない」 では、「意味」 という語を 「真」 という語に置きかえることを狙っているので──すなわち、論理的意味論の性質を明らかにしたかったので──、本節の後には、そのまま 「意味」 の検討を継続して、「意味」 という語から 「真」 概念へ移転するように節を配置しています。構文論上も意味論上も、「真」 という統一的な一語でもって モデル の完全性を示すことが私の目的でした──そして、それが本書 「いざない」 の最大の目的でした。 □

 




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