思想の花びら 2022年 2月 1日


 ●  アラン (哲学者) のことば

  心にうかんだところを口に出すという僕らの要求を誤解すまい。この要求は動物の要求だ、衝動にすぎぬ、情熱にすぎぬ。狂人は心にうかんだことをみなしゃべる。(略)僕は気分をすぐ面と向かってぶちまけるおしゃべり熱というものを好まぬ。

 



 ●  亀井勝一郎 (批評家) のことば

  生の悦びを圧迫するところに宗教の一つの危険がある。病気や罪悪や死の危機において宗教的覚醒は起るし、また人間の実体はここに求められるであろうが、しかし、「生」 を明るく大らかな喜びに絶えず導こうとしないかぎり、宗教は陰惨なものになる一方であろう。「ソロモンの雅歌」 は、異教的ではあるが、むしろそれ故に旧約の一節として入れたことは、旧約の魅力を一層深からしめたと云えよう。宗教に固有の ストイシズム に対し、華かな一種の ニュアンス をもたらすものと云うべきではなかろうか。「伝道の書」 と併せて、人間及び人生の両面がここにあらわれている。

 


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