思想の花びら 2023年 8月15日


 ●  アラン (哲学者) のことば

  芸術の場合でも、喜びがまずやってくる、だが彫刻家や画家や音楽家になるには喜びだけでは足りぬ、仕事の力がいる、なんでも美しいものはむずかしい、とことわざにもいうが、幸福になるのも一つの仕事だ、夫婦でも同じことだ。

 



 ●  亀井勝一郎 (批評家) のことば

  「キケロ は、『哲学するとは死に備ふることにほかならぬ』 と云うた。けだし、勉学と静観とは、いはば、われらの霊魂 (たましひ) をわれらの外部に引出し、之を肉体と別にはたらかすことで、結局死のけいこ・真似事みたいなものだからである」 こう語りはじめながら、結局世の中のあらゆる知恵も哲理も死を恐れないよう、我々に教えるという一点に帰着するだろうと言っている。換言すれば、それはいかにして生を楽しむかということと同義である。人間はみな幸福に、楽しく暮すことを望んでいる。死によって限定されてはいるが、その故にこそ、死の姿をはっきりみることは、快楽の真の味を知る上に大切である。しかし快楽と云っても、いわゆる普通の意味での快楽ではない。彼がここで強調しているのは、最上の快楽としての 「徳」 である。

 


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